「灯台に向かえば、そこには美味しいグルメがある」というコンセプトを掲げ、2025年7月から11月にかけて、愛媛県内の佐田岬灯台(伊方町)と大崎鼻灯台(西予市)の2カ所で、灯台と地域の水産資源を結ぶ体験型ツーリズムイベントを試験的に実施しました。
灯台はこれまで、海上交通の安全を守る「航路標識」としての役割を果たしてきました。しかし、潮流が速く地形が複雑な“海の難所”に立つ灯台の多くは、同時に豊かな漁場に隣接する場所でもあります。私たちはその地理的特性に着目し、「海の難所=豊かな漁場」という関係性を、食の視点から読み解くことで灯台の新たな価値を探る取り組みを始めました。
灯台の立地や設置背景、周辺環境はそれぞれに異なりますが、「灯台の近くの魚はなぜ美味しいのか?」という問いを通して、灯台を地域の“海の記憶”と“恵み”をつなぐ存在になることを目指しました。
「トウダイモトウマシ」とは
「灯台下暗し」ならぬ「灯台下旨し(トウダイモトウマシ)」――この言葉には、“灯台の足元(=海のすぐ下)には、まだ知られていない豊かな恵みがある”という意味を込めています。単なる語呂合わせではなく、灯台を「食」「体験」「地域資源」の交差点として捉え、灯台から“海を味わう旅”を提案する新たな概念です。
佐田岬灯台 トウダイモトウマシ探求ツアー クルージング編を実施しました!
佐田岬灯台周辺で実施したのは「佐田岬灯台 トウダイモトウマシ探求ツアー クルージング編」です。地元の観光交流拠点施設である「佐田岬はなはな」を出航したクルーズ船は、日本一長細い半島としても知られる佐田岬半島の沿岸を進みます。ガイド役を務めたのは佐田岬半島ミュージアム主任学芸員である髙嶋賢二さん。灯台周辺の地質やこの地域に根付く伝統的な漁法である漁士(あまし)について、髙嶋さんの解説を聞きながら灯台へ進みます。



到着後は、松山海上保安部の協力により実現した佐田岬灯台の塔頂体験。灯台の真下で行われているイセエビ漁の仕掛けを見学し、灯台周辺の複雑な地形や速い海流が、イセエビやアカウニ、アワビなどこの地域の誇る絶品の水産資源を育んでいることを間近で感じました。
ツアーの最後は、お楽しみの食事会。佐田岬灯台周辺で獲れたイセエビ、アカウニ、サザエを使った超豪華な特別メニューを実食!この日準備したのは、「赤ウニ1スプーン」、「伊勢海老のパスタ」、「サザエの香草パン粉焼き」など、この日限りの特別メニュー。参加者は、先ほど見学した佐田岬灯台とその周辺の漁場の様子を思い出しながら、灯台×水産資源から生まれた「トウダイモトウマシ」な瞬間を堪能しました。


大崎鼻灯台 トウダイモトウマシ探求ツアー マラニック編を実施しました!
大崎鼻灯台周辺で実施したのは「大崎鼻灯台 トウダイモトウマシ探求ツアー マラニック編」です。「マラニック」とは、マラソンとピクニックを合わせた造語でタイムを目指すのではなく景色やエイドステーションでのおもてなしを楽しみながらゴールを目指すランニングイベントです。
この日参加したのは、県内各地から集まった11名のランナー。地元の観光交流拠点施設「あけはまーれ」を出発し、12.5キロ先の大崎鼻灯台を周回して帰ってくる往復25キロのコースを走りました。

今回のコース上には、合計6か所のおもてなしエイドを設置。この地域の名物である早生ミカン、柑橘ジュース、サツマイモを使ったブリュレに加えて、灯台周辺の宇和海で漁獲された「ハモの天ぷら」、「釜揚げしらす丼」、「アイゴ×明浜レモンの天ぷら」など、地域の海が育んだ極上のおもてなしメニューがずらり。疲れたランナーの心と胃袋を満たします。


大崎鼻灯台に到着後は、宇和島海上保安部の協力による大崎鼻灯台の解説や、周辺の地形と航路の説明などを受け、展望台からは灯台の近くで操業するしらす漁や一本釣りの漁船を見学することが出来ました。

ゴール後のお楽しみは、大崎鼻灯台周辺や周辺の宇和海で漁獲された水産資源をふんだんに使った特製の「灯台バラチラシ寿司」!大崎鼻灯台を模した四角の灯台は酢飯で制作し、バラチラシの具材を周辺の海に見立てました。一本釣りのタチウオやイサキを始め、マダイやケンサキイカ、ウニやマダコなど、地元の海の豊かを象徴する水産資源をふんだんに使ったご馳走で、参加者は「トウダイモトウマシ」なメニューに舌鼓を打ちました。