世界でも類を見ない海事産業(海運業・造船業・舶用工業)が集積する「海事都市」今治市を舞台に
”西日本最大”の国際海事展『バリシップ』が開催。
2009年から今回で第6回目を迎え、海事産業に携わる全ての方に向けた新たなビジネスチャンスの場として世界でも注目されています。
日本最大の海事都市と呼ばれる今治市は、圏域(今治市及び越智郡)に点在していた海事産業が合併によりひとつの行政区域に組み込まれ、
産業集積、生産(数・量)の多くが全国一と言われており、特に「今治オーナー」と呼ばれる外航船主の集積は北欧・香港・ギリシャと並んで
世界の四大船主と言われ、更に全国屈指の造船業を加えた海事産業の集積都市は、世界的にも例がないと言われています。
そんな愛媛県民の誇り、今治市で出展企業350社を超えるバリシップへ潜入してきました。
バリシップ第一回目では、海外企業の出展は少なかったものの回を重ねるごとに、海外の海事関係の展示会でもバリシップのうわさがされており、
海外出展企業数もだんだん増えていきました。
また、地元の造船所や舶用メーカー、国内外のオーナーといった人たちだけでなく、溶接や塗装などに携わる作業員も来場するため、
エンドユーザーがブースで企業の営業などと話すことができ現場の課題をフィードバックできる貴重な場でもあります。
そして今回私たちがフォーカスを当てたのは、バラスト水処理について。
中々耳にする機会のないこのキーワード、実はとんでもない環境問題を引き起こしています。
バラスト水とは、大型船舶が空荷の時に船体を安定させるために重しとして積み込む水のことで、主に海水が使用されています。
到着港で放出される際、バラスト水中に含まれる動物プランクトンや海藻の断片なども一緒に放出されるため、
本来その地域に生息しない「外来種」として生態系をかく乱するなど地域の環境に悪影響を与え、その地域の生態系を変化させてしまうのです。
このような現象を引き起こさないため、水を船体に積み込む際の水の通り道に水以外のモノが入り込めない装置を開発しているといった企業がありました。
海洋環境問題は「ごみを捨てない!」といった単純なものだけでなく、
ビジネスの中で発生してしまうケースも少なくありません。
自分と直接的な関わりがあるところだけでなく、
世界中で抱えている海洋環境問題も知ることで、スケールの大きさを知ることができます。
例えば、自分がポイ捨てしたごみがバラスト水に紛れて他国に放出され現地の魚が間違って食べて死んでしまった。
そんなこともあり得なくないということです。
「自分のとった行動で悲しんでいる動物がいるのか」そんなことを頭の片隅に置いておくだけで、
日頃の行動も変わってくるかもしれません。
また、バリシップの魅力は業者間だけにとどまらず、
一般客に向けたおもてなしにも力を入れています。
3日間開催されるうちの最終日は一般客の来場も受け入れ、展示場や参加型のアトラクションも実施しています。
中でも人気のある造船所見学は、5つの工場を巡り普段は見ることのできない船作りの現場を間近で体感できると、一般客の楽しみの一つでもあります。
26日日曜日は波方町で獅子舞の奉納などを披露するお祭りもあり、
ビジネスの木、金曜日に加え、パブリックデーの土曜日、
そして地元のお祭りを楽しむ日曜日と街全体を使った展示会で今治市を盛り上げています。
バリシップ、一般人からすると企業向けの難しい展示会と思ってしまうかもしれません。
しかし、今回初めて現場へ行き、難しいという印象よりも未来を担う世界の最新技術が溢れ、キラキラした場所だったように思います。そして海洋環境問題は身近に存在し他人事ではないと考えさせられたイベントでもありました。
愛媛県民なら一度は行くべきイベント、ベスト10には必ず入る大型イベント!
残念ながら2年に一度と来年の開催はありませんが、再来年にはぜひ会場まで足を運んでみて下さい!
イベント名 | バリシップ2019 |