のぼり旗を設置し、設置の有無によるごみの量を計測する実証実験、
「えひめ海ごみ0チャレンジ!のぼり旗プロジェクト」。
この取り組みは、2020年度に長浜高校が地域探求プログラムとして実施し、ごみを減らすことに成功し、
地域探求プログラム全国大会において「文部科学大臣賞」を受賞しました。
この取り組みに、今年は、長浜高校、南宇和高校、三崎高校、松山東雲中学高等学校の4校が参加し、
それぞれの地域で活動を行いました。
その4校が集まり、それぞれの学校の成果発表会を行いました。
<長浜高校>
長浜高校は、長浜港湾緑地、長浜海水浴場で行いました。
長浜高校は2つの班に分かれて実施。
1つの班は長浜高校が舞台の漫画、「熱帯魚は雪に焦がれる」(通称 はにがれ)ののぼり旗と、
長浜高校のマスコットキャラクター「つらいにゃん!」の2種ののぼり旗で行いました。
ごみを重さで計るよりも、ごみの数で判断した方が正確な調査結果が出ると考え、昨年と調査方法を変更し実施しました。
「つらいにゃん!」ののぼり旗で実施した班は、「つらいにゃん!」が嬉しそうな顔をしたもの、悲しそうな顔をしたものの2種ののぼり旗を作り、
対象地域のごみの量が多いと悲しそうな表情をしているのぼり旗を立て、
対象地域のごみの量が少ないと嬉しそうな表情をしているのぼり旗を立てました。
嬉しそうな表情、悲しそうな表情のマスコットが人の意識を変え、
たばこや紙ごみのポイ捨てに効果がありました。
大雨などの自然災害の影響を受けた部分はありましたが、漂着ごみとポイ捨てごみは一目瞭然でわかります。
のぼり旗がある方がポイ捨てのごみの量が少なくなるという結論でした。
他校からの質問で、「風でのぼり旗が倒れることがよくあったのだが、どういう工夫をしていましたか?」という質問に対し、
「結束バンドで杭とポールを結ぶ数を増やし、倒れることを防止するよう工夫していました」と回答していました。
海辺ならではの苦労にも、知恵を絞って調査を実施していました。
<南宇和高校>
南宇和高校は、愛南町の御荘湾沿いの海岸で実施しました。
のぼり旗のデザインは、愛南町のゆるキャラ「なーし君」です。
一見、ごみがない海岸でしたが、探せばどんどん出てきたそうです。
土地柄、養殖用のロープやブイ、発泡スチロールなどの漁具のごみも多かったそうです。
日常的に使っているペットボトルも多くありました。
のぼり旗を設置した週はごみの量が減っていて、
のぼり旗がある方が、ごみの量が少なくなるという結論でした。
他校の生徒からは、「同じ愛媛県内でもごみの種類が違うということを知れて勉強になった」という意見があがっていました。
<三崎高校>
三崎高校は、オリジナルのスタイルで調査を行いました。
場所は佐田岬はなはな堤防。
釣りに行った際に、横にのぼり旗を立てておく、というスタイルです。
本人たちはいつも通り釣りをしているだけですが、
珍しいのぼりに興味を持った釣り人たちが「これ何?」と話しかけてきて、
その際に「のぼり旗プロジェクト」について説明をしていたそうです。
自分たちだけで何とかしようと考えてしまいそうですが、
釣り人を巻き込み、結果的にイベントを啓発しながらごみを減らすという斬新な手法となりました。
「釣り人の意識を変える」
三崎高校ものぼり旗がある方がごみの量は少なくなるという結論でした。
他校の生徒や先生からも、釣り人とコミュニケーションをとってごみを減らす行動を拡散していく、
新しくて素晴らしい手法だと思う!と絶賛されていました。
<松山東雲中学高等学校>
松山東雲中学高等学校は、唯一街中の学校で、調査は松山市のロープウェー街で行いました。
のぼり旗のキャラクターは松山東雲中学高等学校の制服の女の子で、実際の清掃活動も制服で行ったそうです。
松山東雲中学高等等学校も、のぼり旗があることでごみは少なくなるという結論でした。
制服姿で行ったのが啓発活動となり、ごみを捨てる人が減ったのではないか、と考えていました。
ごみを捨てるのは一瞬だが、拾って、分けて、処分するとなると何倍もの時間がかかります。
この実証実験以外でもごみを見ると拾いたくなるようになったそうで、自分たちの意識が変わったと
発表していました。
この実験が終わった後も、引き続き活動を行っていきたいとのことでした。
街中の学校、海沿いの学校と、条件の違う中行った「のぼり旗プロジェクト」。
自分たちから変わらなければ周りの人の意識は変えられないと思った学校、
周りを巻き込むことによってたくさんの人の意識を変えられたと思った学校、
相反する結論のようですが、どちらも真実であり、どちらも大切。
この発表会を通して、たくさんの学びがありました。
また、拾ったごみでアート作品を製作してもらいました。
降りやまない雨のように、どんどん捨てられるごみをイメージした作品。
海岸に流れ着いたブイで作ったブイアート。
牡蠣の養殖用のパイプで作ったアート作品。
拾ったシーグラスで作った森をイメージした作品。
どの作品も素晴らしかったです。
発表会の後は交流会として、
長浜高校水族館を見学させていただきました。
予想以上の本格的かつ大きな水族館に、参加者は大満足の時間を過ごしました。
今回の発表会は、他校の取り組みや実施結果、悩み、解決法などを聞けて
とても有意義な時間となりました。
「海をきれいにしたい」という共通の想いを持った高校生の交流も行われ、
これからの活動の広がりに期待を感じました。
イベント名 | えひめ海ごみ0チャレンジ!のぼり旗プロジェクト 発表会・交流会 |
参加人数 | 24 |
日程 | 2022年11月19日(土) |
場所 | 長浜高校 |
主催 | 海と日本プロジェクトinえひめ |