レポート
2025.05.17

【灯台博士 大成さんによるコラム】②海中鳥居は珍しいのか?  〜弁財天島の厳島神社〜

月に1度、今治明徳短期大学地域連携センター長・大成経凡さんに寄稿していただく海にまつわるコラム。

今回は、「②海中鳥居は珍しいのか?  〜弁財天島の厳島神社〜」です。

 

安芸宮島の厳島神社(世界遺産)の分霊をお祀りする神社が、波止浜(はしはま)湾の湾口にもあります。

[安芸宮島の大鳥居をくぐる小早船(1997年)]

弁財天島造船所が立ち並ぶ小浦(こうら)海岸の地先にあり、小さな岩礁の上に祠があって、鳥居は満潮時には海水につかるよう設置されています。春の大潮を利用して、このほどその岩礁に初めて上陸を果たしました。現在の花崗岩(かこうがん)製の鳥居は昭和54(1979)年に建立されたようで、昭和戦前の鳥居は波止浜町の名勝絵葉書で確認することができます。その絵葉書には〝弁財天島〟のキャプションがあり、明治初年の略地図も同様の記載となっています。

[弁財天島(後方は来島)]

[弁財天島の絵葉書(後方は来島)]

すぐ眼前には来島があり、もとは弁財天を祀っていたのでしょう。来島は、かつて村上海賊の一派・来島氏が拠点とした海城ですが、廃城となって以降は隣島の小島(おしま)とともに松山藩領の来島村となり、漁業を生業としました。一方、隣接する今治藩領の大浜村も漁業を生業とし、小浦は大浜村に含まれました。弁財天は水に関係する神様で、能島城跡(能島氏が拠点とした海城)の鯛崎島にも祀られていて、今日も地元漁師の信仰を集めています。

かつて宮島の厳島神社に祀られていた弁財天は、明治の神仏分離によって島内の大願寺(日本三大弁才天)に移されました。小浦の弁財天島に厳島神社が祀られているのも、そうした関係性からだと思われます。

[厳島神社の鳥居]

波止浜湾を運航する定期船(来島〜小島〜馬島)や遊覧船(㈱しまなみ)からは、この弁財天島と鳥居を眺めることができますが、ガイドで帯同していると「あのお社(祠)は何ですか?」と、観光客からよく訊かれることがあります。この鳥居は、潮位の低い満潮時には海水につからない場合もありますが、島そのものが海中にあることで、珍景として観光客の目には映るようです。アクセスを希望される方は、矢野造船所そばの駐車場から浜に下ると、干潮時に上陸することができます。現地を訪ねた筆者の感想としましては、上陸の際は足元が滑りやすく危険で、高所恐怖症の方にはオススメはできません。祠まで登ると、さすがに立ちくらみがして足がブルブル震えました(笑)。      

[満潮時の弁財天島]

 

【③へつづく】

 

 

\ 記事をシェアしよう /
X LINE ニュースを共有

関連リンク

【灯台博士 大成さんによるコラム】①海中鳥居は珍しいのか? 〜波止浜の龍神社〜
レポート
2025.05.08

【灯台博士 大成さんによるコラム】①海中鳥居は珍しいのか? 〜波止浜の龍神社〜

【プロキングランナー中村さんによるレポート】第7回武左衛門マラソンに出走しました!
レポート
2025.04.22

【プロキングランナー中村さんによるレポート】第7回武左衛門マラソンに出走しました!

ページ内トップへ