今治ブルークリーンプロジェクトに参加

2023-7-7
海と日本PROJECT in えひめ

月に1度、今治明徳短期大学地域連携センター長・大成経凡さんに寄稿いただく海にまつわるコラム。

今回は「今治ブルークリーンプロジェクト」です。

 

バリシップ2023(5月25~27日)の開催に合わせて、5月24日に次世代の内航貨物船として注目を集めるSIM-SHIP1(船名/國喜68)が今治港へ寄港しました。

①SIM-SHIP1で記念撮影

[SIM-SHIP1で記念撮影]

 

本船は、内航船主や機器メーカーでつくる「一般社団法人 内航ミライ研究会」が中心となって、今治市大島の山中造船所で建造された499総㌧の鉄鋼貨物船です(全長70m、1,645㌧積、乗組員5人)。デジタル機器やコンテナ型バッテリーなどを搭載して、二酸化炭素の排出削減や船員の負担軽減などに期待がふくらみます。

③コンテナ型バッテリー

[コンテナ型バッテリー]

このコンテナ型バッテリーは、今治市クリーンセンター「バリクリーン」のごみ焼却にともなうバイオマス発電の電気を蓄電することで、照明等の船内環境のエネルギーに変えることができます(蓄電総量164㌗時)。この12フィートコンテナはデッキ後方に搭載し、陸上クレーンでトラックとの受け渡しをはかり、寄港中はバリクリーンとの往来をテストしました(約40㌗時充電)。一般に船内の電気は、機関室に設置されている発電機(補機)で生み出し、燃料には潤滑油が用いられます。このため、港に接岸中は陸電に接続して燃費や騒音を抑えることもあります。一方で、このように選択肢を増やして脱炭素の動きを進めていく取り組みは、業界の注目を集めています。

バリシップ期間中、本船は業界関係者にお披露目され、内航船主の多い今治市では見学者が多かったことと推察します。

④船橋からの眺め

[船橋からの眺め]

筆者は、接岸を知りながら見学することがかなわず、かつて内航海運業にかかわった人間として、とても残念に感じていました。そんな中、今治市環境政策課からお誘いがあり、6月24日午前中に開催された今治ブルークリーンプロジェクト「今治の海の環境について学ぼう~海の仕事編~」(日本財団助成事業)に講師の一人として参加することになりました(対象は小学4年生~中学生とその保護者)。5月24日以降、SIM-SHIP1は今治港で各種試験を繰り返し、その日の正午に処女航海に向けて旅立つというのです。そこで、内航ミライ研究会らの協力も仰ぎ、船内見学をさせていただくことになりました。そして見学後、参加者は今治市みなと交流館「はーばりー」に場所を移して、〝今治の海事産業に影響を与えた自然環境(風土)〟をテーマにした講演会となりました。

②内航船員のお仕事解説

[内航船員のお仕事解説]

船内見学に先立ち、船員管理をする有限会社えびす商会の野間社長(今治市伯方島出身)から内航船業界の概略について説明があり、「隣にいる若い船長さんは、今度、ベンツを買うんですよ!」「船長さん・機関長さんともに髪の毛がありませんが、髪型は自由です。真赤や金色に染めても、わが社は大丈夫です」と子供たちの笑いを誘い、船員の福利厚生に力を入れている様子がよく伝わってきました。船長さん・機関長さんも挨拶を行い、全国各地を仕事で旅し、イルカやアザラシにも出会え、仕事の合間に自分の時間も持てる、とてもやりがいのある仕事だと胸を張っていました。

ただ、筆者の経験からすると、5人の乗組員で1隻の499総㌧型貨物船を運航することはとても大変で、忙しい時は個々に負担がのしかかり、5人のチームワークでこれを乗り切ることが求められます。その負担を軽減する装置が本船にはいくつも備わっていて、船員不足に悩む業界の救世主として期待されています。参加者はブリッジ(操舵室)にも足を踏み入れましたが、筆者が船員だった20年近く前に比べると、機器類の多さに驚きました。

⑤操舵室

[操舵室]

こどもたちは、舵輪のハンドルを握ったり、警笛ボタンを押して音が響き渡ることに興奮していました。さらに、ハッチカバーを開放して貨物を積むホールド(艙内)にも降り立ち、無邪気に足り回る姿がとても新鮮でした。

⑥ホールド内で歓声がこだま

[ホールド内で歓声がこだま]

これぞ、新造船の醍醐味です!野間社長が「こんなことならサッカーボールでも用意しておけば良かった」と苦笑いしていました。本船の荷は原木や石炭のようで、九州と境港を定期運航するとのことです。

正午ころに、本船は大勢の関係者と紙テープに見送られ、処女航海へと旅立ちました。講演会の後も多くの子供たちが居残り、出航のシーンに立ち会うことができました。

⑦出港をお見送り

[出港をお見送り]

進水式とはまた違った趣で、とても感動的でした。またこうした取り組みをやりたいものです。

 

【おわり】

大成 経凡

イベント名今治ブルークリーンプロジェクトに参加
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